イエロースターからの10月のおはなし
 きむらゆうこ






これは、イエロースターでのお話です。わたしが中学生の時出逢った妖精マリーの事を書いてます。それから今もずっと仲良しです。
いつもマリーはお友達を連れてきてくれてイエロースターの楽しい出来事をおしえてくれるのですよ。
ブレーメンのおんがく館のお友達には、時々それらのお話しをしたり、絵を描いたりもしているので知っている人もいます。もし、ききたいことがあればいつでも聞いてくださいね。
さて、毎年10月が近ずくとワクワクしてとても楽しみにしていることがあります。
イエロースタから魔女学校のおチビさんの生徒さんたちが、ブレーメンの庭に修行にやってくるのです。
マリー魔女学校から今年も
スミオネ、カリオネが選ばれました。スミオネは13才、 カリオネは10才です。
イエロースターでは、13才から1人前の魔女としての生活がハロウィンの翌日からスタートするのです。今年は、スミオネが卒業です。
魔女学校での卒業課題は、
「りんごワインを作る」ことです。
このワインは卒業式と、新人魔女出発パーティで御世話になった先生方、そして先輩にプレゼントします。
そのワイン作りの課題は、本当にむつかしくて、将来魔女としての、かなりの実力がなければできない最上級の課題です。
そこに到達するまでには段階があってスミオネもカリオネと同じ年からひとつひとつがんばって合格してきましたのです。
たとえば、初級の課題は木に椿の花を咲かせること。
中級はそれに加えて椿の花が歌を歌って踊ること。
上級はそれに加えて、その花をりんごに変えること。
などの課題は魔女学校の小さな生徒達にとったら大変なものなのです。
そして、最上級の課題は、
なんと、それに加えて魔法の粉をつくりその魔法の粉を空中にまき、椿の妖精を呼び出します。そして、一緒に歌をうたって、踊って楽くりんご酒を作りそして魔女学校の大広間の大テーブルまで、ワイン110本を到着させる。という課題です。 このように卒業課題はかなり集中力と魔女としての気迫が育ってないとできないものです。
特にきまぐれな妖精たちや
ワイン、ガラスのボトル、コルクには中途半端な魔法はとどきません。
さぁ、スミオネ!がんばって!
いといよハロウィンの夜も真夜中にさしかかり、その時がやってきました!
スミオネが息を深く吸い込んで一瞬息を止めました。そして、「椿の精よ歌え!」と
魔法の棒を振りました。すると…椿の花の格好をした妖精たちがどこからともなく舞い降りてきて歌い出しました。妖精って、なんて、うたがうまくそして可愛いのでしょう!スミオネはその愛らしさに涙がでそうになりました。
…いえいえ、いけません!
泣いてしまうと魔法のバランスがたちまち崩れてしまいます。スミオネは気持ちを整えて、息を深く吸い込んで
「踊れ!」棒を振りました。すると妖精たちは、手を取り合ってそれはそれはたのしそうに踊りだしました。本当に…なんて、可愛いいのでしょう!
妖精たちがスミオネに「どうぞ!ごいっしょにうたいましょう!」の合図をしました。
スミオネは中央には入ります。
いよいよワイン作りの魔法の始まります。「リンゴよワインとなれ!」そしてつづけて唱えます。
「ワインよ踊れ!ボトルよ歌え!」
そうすると、110本のワインボトルにあっという間にワインが注ぎこまれてゆきました。
次に「コルクよ栓をせよ!」…するとコルクは歌と踊りに合わせてどんどん栓をしてゆき、あっという間に110本の 見事なりんごワインが完成しました。そしてそれらのワインが魔女学校の大広間に向かって飛んでいきます。
これで卒業課題は修了です。
終わったのです。ついにやりきりました。
スミオネは魔法の棒を大きく振りかざすと夜空に向かって深々と一礼しました。
「やったわ!!やったわ!」
スミオネは飛び上がってよろこんでます。もう、うれしくてしかたありません。
そこへカリオネも課題が見事にできたらしく紫色のマントを風をきってもどってきました。ふたりはしばらくおめでとうをいいあっておたがいにがんばったことをはなしていると、そこへ、2人に新しいほうきが届きました。
そして、あたらしいほうきにのって誇らしげな顔で、ハロウィンの夜明けまえに飛び立ちました。





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